《吾輩は猫である》

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吾輩は猫である- 第65部分


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「そうね、もしもの事があると不安心だわね」と十七八の娘に似合しからん世帯染(しょたいじ)みたことを云う。

「その談判を蔭で聞いていると、本当に面白いのよ。なるほど保険の必要も認めないではない。必要なものだから会社も存在しているのだろう。しかし死なない以上は保険に這入(はい)る必要はないじゃないかって強情を張っているんです」

「叔父さんが?」

「ええ、すると会社の男が、それは死ななければ無論保険会社はいりません。しかし人間の命と云うものは丈夫なようで脆(もろ)いもので、知らないうちに、いつ危険が逼(せま)っているか分りませんと云うとね、叔父さんは、大丈夫僕は死なない事に決心をしているって、まあ無法な事を云うんですよ」

「決心したって、死ぬわねえ。わたしなんか是非及第(きゅうだい)するつもりだったけれども、とうとう落第してしまったわ」

「保険社員もそう云うのよ。寿命は自分の自由にはなりません。決心で長(な)が生(い)きが出来るものなら、誰も死ぬものはございませんって」

「保険会社の方が至当(しとう)ですわ」

「至当でしょう。それがわからないの。いえ決して死なない。誓って死なないって威張るの」

「妙ね」

「妙ですとも、大妙(おおみょう)ですわ。保険の掛金を出すくらいなら銀行へ貯金する方が遥(はる)かにましだってすまし切っているんですよ」

「貯金があるの?」

「あるもんですか。自分が死んだあとなんか、ちっとも構う考なんかないんですよ」

「本当に心配ね。なぜ、あんななんでしょう、ここへいらっしゃる方(かた)だって、叔父さんのようなのは一人もいないわね」

「いるものですか。無類ですよ」

「ちっと鈴木さんにでも頼んで意見でもして貰うといいんですよ。ああ云う穏(おだ)やかな人だとよっぽど楽(らく)ですがねえ」

「ところが鈴木さんは、うちじゃ評判がわるいのよ」

「みんな逆(さか)なのね。それじゃ、あの方(かた)がいいでしょう――ほらあの落ちついてる――」

「八木さん?」

「ええ」

「八木さんには大分(だいぶ)椋Э冥筏皮い毪螭扦工汀W蛉眨à韦Γ┟酝い丹螭搐茞櫩冥颏い盲郡猡韦坤椤⑺激盲郡郅衫à─胜い庵欷胜ぁ

「だっていいじゃありませんか。あんな風に鷹揚(おうよう)に落ちついていれば、――こないだ学校で演説をなすったわ」

「八木さんが?」

「ええ」

「八木さんは雪江さんの学校の先生なの」

「いいえ、先生じゃないけども、淑徳(しゅくとく)婦人会(ふじんかい)のときに招待して、演説をして頂いたの」

「面白かって?」

「そうね、そんなに面白くもなかったわ。だけども、あの先生が、あんな長い顔なんでしょう。そうして天神様のような髯(ひげ)を生やしているもんだから、みんな感心して聞いていてよ」

「御話しって、どんな御話なの?」と妻君が聞きかけていると椽側(えんがわ)の方から、雪江さんの話し声をききつけて、三人の子供がどたばた茶の間へ乱入して来た。今までは竹垣の外の空地(あきち)へ出て撸Г螭扦い郡猡韦扦ⅳ恧Α

「あら雪江さんが来た」と二人の姉さんは嬉しそうに大きな声を出す。妻君は「そんなに騒がないで、みんな静かにして御坐わりなさい。雪江さんが今面白い話をなさるところだから」と仕事を隅へ片付ける。

「雪江さん何の御話し、わたし御話しが大好き」と云ったのはとん子で「やっぱりかちかち山の御話し?」と聞いたのはすん子である。「坊ばも御はなち」と云い出した三女は姉と姉の間から膝を前の方に出す。ただしこれは御話を承(うけたま)わると云うのではない、坊ばもまた御話を仕(つかまつ)ると云う意味である。「あら、また坊ばちゃんの話だ」と姉さんが笑うと、妻君は「坊ばはあとでなさい。雪江さんの御話がすんでから」と賺(す)かして見る。坊ばはなかなか聞きそうにない。「いや琛ⅳ肖帧工却螭噬虺訾埂!袱ⅳ瑜筏瑜贩护肖沥悚螭椁胜丹ぁ:韦仍皮Δ危俊工妊┙丹螭现t遜(けんそん)した。

 。。



十 … 9

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「あのね。坊たん、坊たん、どこ行くのって」

「面白いのね。それから?」

「わたちは田圃(たんぼ)へ稲刈いに」

「そう、よく知ってる事」

「御前がくうと邪魔(だま)になる」

「あら、くうとじゃないわ、くるとだわね」ととん子が口を出す。坊ばは相変らず「ばぶ」と一喝(いっかつ)して直ちに姉を辟易(へきえき)させる。しかし中途で口を出されたものだから、続きを忘れてしまって、あとが出て来ない。「坊ばちゃん、それぎりなの?」と雪江さんが聞く。

「あのね。あとでおならは御免(ごめん)だよ。ぷう、ぷうぷうって」

「ホホホホ、いやだ事、誰にそんな事を、教わったの?」

「御三(おたん)に」

「わるい御三(おさん)ね、そんな事を教えて」と妻君は苦笑をしていたが「さあ今度は雪江さんの番だ。坊やはおとなしく聞いているのですよ」と云うと、さすがの暴君も迹茫à胜盲趣─筏郡纫姢à啤ⅳ饯欷甑狈证伍gは沈黙した。

「八木先生の演説はこんなのよ」と雪江さんがとうとう口を切った。「昔ある辻(つじ)の真中に大きな石地蔵があったんですってね。ところがそこがあいにく馬や車が通る大変賑(にぎ)やかな場所だもんだから邪魔になって仕様がないんでね、町内のものが大勢寄って、相談をして、どうしてこの石地蔵を隅の方へ片づけたらよかろうって考えたんですって」

「そりゃ本当にあった話なの?」

「どうですか、そんな事は何ともおっしゃらなくってよ。――でみんながいろいろ相談をしたら、その町内で一番強い男が、そりゃ訳はありません、わたしがきっと片づけて見せますって、一人でその辻へ行って、両肌(もろはだ)を抜いで汗を流して引っ張ったけれども、どうしても動かないんですって」

「よっぽど重い石地蔵なのね」

「ええ、それでその男が疲れてしまって、うちへ帰って寝てしまったから、町内のものはまた相談をしたんですね。すると今度は町内で一番利口な男が、私(わたし)に任せて御覧なさい、一番やって見ますからって、重箱のなかへ牡丹餅(ぼたもち)を一杯入れて、地蔵の前へ来て、『ここまでおいで』と云いながら牡丹餅を見せびらかしたんだって、地蔵だって食意地(くいいじ)が張ってるから牡丹餅で釣れるだろうと思ったら、少しも動かないんだって。利口な男はこれではいけないと思ってね。今度は瓢箪(ひょうたん)へお酒を入れて、その瓢箪を片手へぶら下げて、片手へ猪口(ちょこ)を持ってまた地蔵さんの前へ来て、さあ飲みたくはないかね、飲みたければここまでおいでと三時間ばかり、からかって見たがやはり動かないんですって」

「雪江さん、地蔵様は御腹(おなか)が減(へ)らないの」ととん子がきくと「牡丹餅が食べたいな」とすん子が云った。

「利口な人は二度共しくじったから、その次には贋札(にせさつ)を沢山こしらえて、さあ欲しいだろう、欲しければ取りにおいでと札を出したり引っ込ましたりしたがこれもまるで益(やく)に立たないんですって。よっぽど頑固(がんこ)な地蔵様なのよ」

「そうね。すこし叔父さんに似ているわ」

「ええまるで叔父さんよ、しまいに利口な人も愛想(あいそ)をつかしてやめてしまったんですとさ。それでそのあとからね、大きな法螺(ほら)を吹く人が出て、私(わたし)ならきっと片づけて見せますからご安心なさいとさも容易(たやす)い事のように受合ったそうです」

「その法螺を吹く人は何をしたんです」

「それが面白いのよ。最初にはね巡査の服をきて、付(つ)け髯(ひげ)をして、地蔵様の前へきて、こらこら、動かんとその方のためにならんぞ、警察で棄てておかんぞと威張って見せたんですとさ。今の世に警察の仮声(こわいろ)なんか使ったって誰も聞きゃしないわね」

「本当ね、それで地蔵様は動いたの?」

「動くもんですか、叔父さんですもの」

「でも叔父さんは警察には大変恐れ入っているのよ」

「あらそう、あんな顔をして? それじゃ、そんなに怖(こわ)い事はないわね。けれども地蔵様は動かないんですって、平気でいるんですとさ。それで法螺吹は大変怒(おこ)って、巡査の服を脱いで、付け髯を紙屑唬à撙氦矗─嘏祝à郅Γ─贽zんで、今度は大金持ちの服装(なり)をして出て来たそうです。今の世で云うと岩崎男爵のような顔をするんですとさ。おかしいわね」





十 … 10

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「岩崎のような顔ってどんな顔なの?」

「ただ大きな顔をするんでしょう。そうして何もしないで、また何も云わないで地蔵の周(まわ)りを、大きな巻煙草(まきたばこ)をふかしながら歩行(ある)いているんですとさ」

「それが何になるの?」

「地蔵様を煙(けむ)に捲(ま)くんです」

「まるで噺(はな)し家(か)の洒落(しゃれ)のようね。首尾よく煙(けむ)に捲(ま)いたの?」

「駄目ですわ、相手が石ですもの。ごまかしもたいていにすればいいのに、今度は殿下さまに化けて来たんだって。馬鹿ね」

「へえ、その時分にも殿下さまがあるの?」

「有るんでしょう。八木先生はそうおっしゃってよ。たしかに殿下様に化けたんだって、恐れ多い事だが化けて来たって――第一不敬じゃありませんか、法螺吹(ほらふ)きの分際(ぶんざい)で」

「殿下って、どの殿下さまなの」

「どの殿下さまですか、どの殿下さまだって不敬ですわ」

「そうね」

「殿下さまでも利(き)かないでしょう。法螺吹きもしようがないから、とても私(わたし)の手際(てぎわ)では、あの地蔵はどうする事も出来ませんと降参をしたそうです」

「いい気味ね」

「ええ、ついでに懲役(ちょうえき)にやればいいのに。――でも町内のものは大層気を揉(も)んで、また相談を開いたんですが、もう誰も引き受けるものがないんで弱ったそうです」

「それでおしまい?」

「まだあるのよ。一番しまいに車屋とゴロツキを大勢雇って、地蔵様の周(まわ)りをわいわい騒いであるいたんです。ただ地蔵様をいじめて、いたたまれないようにすればいいと云って、夜昼交替(こうたい)で騒ぐんだって」

「御苦労様ですこと」

「それでも取り合わないんですとさ。地蔵様の方も随分強情ね」

「それから、どうして?」ととん子が熱心に聞く。

「それからね、いくら毎日毎日騒いでも験(げん)が見えないので、大分(だいぶ)みんなが厭(いや)になって来たんですが、車夫やゴロツキは幾日(いくんち)でも日当(にっとう)になる事だから喜んで騒いでいましたとさ」

「雪江さん、日当ってなに?」とすん子が伲鼏枻颏工搿

「日当と云うのはね、御金の事なの」

「御金をもらって何にするの?」

「御金を貰ってね。……ホホホホいやなすん子さんだ。――それで叔母さん、毎日毎晩から騒ぎをしていますとね。その時町内に馬鹿竹(ばかたけ)と云って、何(なんに)も知らない、誰も相手にしない馬鹿がいたんですってね。その馬鹿がこの騒ぎを見て御前方(おまえがた)は何でそんなに騒ぐんだ、何年かかっても地蔵一つ動かす事が出来ないのか、可哀想(かわいそう
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