《吾輩は猫である》

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吾輩は猫である- 第50部分


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幛沥悚幛沥悚顺Zけて有名なるイスキラスはここに無惨(むざん)の最後を遂げた。それはそうと、解(げ)しかねるのは鷲の了見である。例の頭を、作家の頭と知って落したのか、または禿岩と間摺à坡浃筏郡猡韦⒔鉀Qしよう次第で、落雲館の敵とこの鷲とを比較する事も出来るし、また出来なくもなる。主人の頭はイスキラスのそれのごとく、また御歴々(おれきれき)の学者のごとくぴかぴか光ってはおらん。しかし六畳敷にせよいやしくも書斎と号する一室を控(ひか)えて、居眠りをしながらも、むずかしい書物の上へ顔を翳(かざ)す以上は、学者作家の同類と見傚(みな)さなければならん。そうすると主人の頭の禿げておらんのは、まだ禿げるべき資格がないからで、その内に禿げるだろうとは近々(きんきん)この頭の上に落ちかかるべき呙扦ⅳ恧Α¥筏埔姢欷新潆咅^の生徒がこの頭を目懸けて例のダムダム丸(がん)を集注するのは策のもっとも時宜(じぎ)に適したものと云わねばならん。もし敵がこの行動を二週間継続するならば、主人の頭は畏怖(いふ)と煩悶(はんもん)のため必ず営養の不足を訴えて、金柑(きんかん)とも薬缶(やかん)とも銅壺(どうこ)とも変化するだろう。なお二週間の砲撃を食(くら)えば金柑は潰(つぶ)れるに相摺胜ぁKa缶は洩(も)るに相摺胜ぁc~壺ならひびが入るにきまっている。この睹易(みやす)き結果を予想せんで、あくまでも敵と戦闘を継続しようと苦心するのは、ただ本人たる苦沙弥先生のみである。

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ある日の午後、吾輩は例のごとく椽側(えんがわ)へ出て午睡(ひるね)をして虎になった夢を見ていた。主人に鶏肉(けいにく)を持って来いと云うと、主人がへえと恐る恐る鶏肉を持って出る。迷亭が来たから、迷亭に雁(がん)が食いたい、雁鍋(がんなべ)へ行って誂(あつ)らえて来いと云うと、蕪(かぶ)の香(こう)の物(もの)と、塩煎餅(しおせんべい)といっしょに召し上がりますと雁の味が致しますと例のごとく茶羅(ちゃら)ッ鉾(ぽこ)を云うから、大きな口をあいて、う葐垼àΔ剩─盲茋槪à嗓─筏皮浃盲郡椤⒚酝い仙n(あお)くなって山下(やました)の雁鍋は廃業致しましたがいかが取り計(はから)いましょうかと云った。それなら牛肉で勘弁するから早く西川へ行ってロ工蛞唤锶·盲评搐ぁ⒃绀护螭荣F様から食い殺すぞと云ったら、迷亭は尻を端折(はしょ)って馳(か)け出した。吾輩は急にからだが大きくなったので、椽側一杯に寝そべって、迷亭の帰るのを待ち受けていると、たちまち家中(うちじゅう)に響く大きな声がしてせっかくの牛(ぎゅう)も食わぬ間(ま)に夢がさめて吾に帰った。すると今まで恐る恐る吾輩の前に平伏していたと思いのほかの主人が、いきなり後架(こうか)から飛び出して来て、吾輩の横腹をいやと云うほど蹴(け)たから、おやと思ううち、たちまち庭下駄をつっかけて木戸から廻って、落雲館の方へかけて行く。吾輩は虎から急に猫と収縮したのだから何となく極(きま)りが悪くもあり、おかしくもあったが、主人のこの権幕と横腹を蹴られた痛さとで、虎の事はすぐ忘れてしまった。同時に主人がいよいよ出馬して敵と交戦するな面白いわいと、痛いのを我慢して、後(あと)を慕って裏口へ出た。同時に主人がぬすっとうと怒鳴る声が聞える、見ると制帽をつけた十八九になる倔強(くっきょう)な奴が一人、四ツ目垣を向うへ仱暝饯à膜膜ⅳ搿¥浃⑦Wかったと思ううち、彼(か)の制帽は馳け足の姿勢をとって根拠地の方へ韋駄天(いだてん)のごとく逃げて行く。主人はぬすっとうが大(おおい)に成功したので、またもぬすっとうと高く叫びながら追いかけて行く。しかしかの敵に追いつくためには主人の方で垣を越さなければならん。深入りをすれば主人自(みずか)らが泥棒になるはずである。前(ぜん)申す通り主人は立派なる逆上家である。こう勢(いきおい)に仱袱皮踏工盲趣Δ蜃筏窑堡胍陨悉稀⒎蜃樱à栅Δ罚┳陨恧踏工盲趣Δ顺嗓盲皮庾筏窑堡毪膜猡辘纫姢à啤⒁丹箽萆à堡筏─猡胜胃蓼沁Mんだ。今一歩で彼はぬすっとうの領分に入(はい)らなければならんと云う間際(まぎわ)に、敵軍の中から、薄い髯(ひげ)を勢なく生(は)やした将官がのこのこと出馬して来た。両人(ふたり)は垣を境に何か談判している。聞いて見るとこんなつまらない議論である。

「あれは本校の生徒です」

「生徒たるべきものが、何で他(ひと)の邸内へ侵入するのですか」

「いやボ毪膜わwんだものですから」

「なぜ断って、取りに来ないのですか」

「これから善(よ)く注意します」

「そんなら、よろしい」

竜騰虎闘(りゅうとうことう)の壮観があるだろうと予期した交渉はかくのごとく散文的なる談判をもって無事に迅速に結了した。主人の壮(さか)んなるはただ意気込みだけである。いざとなると、いつでもこれでおしまいだ。あたかも吾輩が虎の夢から急に猫に返ったような観がある。吾輩の小事件と云うのは即(すなわ)ちこれである。小事件を記述したあとには、順序として是非大事件を話さなければならん。

主人は座敷の障子を開いて腹這(はらばい)になって、何か思案している。恐らく敵に対して防禦策(ぼうぎょさく)を講じているのだろう。落雲館は授業中と見えて、邉訄訾洗嫱饩菠扦ⅳ搿¥郡佬Ehの一室で、倫理の講義をしているのが手に取るように聞える。朗々たる音声でなかなかうまく述べ立てているのを聴くと、全く昨日(きのう)敵中から出馬して談判の衝(しょう)に当った将軍である。

「……で公徳と云うものは大切な事で、あちらへ行って見ると、仏蘭西(フランス)でも独逸(ドイツ)でも英吉利(イギリス)でも、どこへ行っても、この公徳の行われておらん国はない。またどんな下等な者でもこの公徳を重んぜぬ者はない。悲しいかな、我が日本に在(あ)っては、未(ま)だこの点において外国と拮抗(きっこう)する事が出来んのである。で公徳と申すと何か新しく外国から輸入して来たように考える諸君もあるかも知れんが、そう思うのは大(だい)なる铡辘恰⑽羧耍à护袱螅─夥蜃樱à栅Δ罚─蔚酪唬à撙沥い模┮裕à猡茫─浦à长欤─蜇灒à膜椁蹋─⒅宜。à沥澶Δ袱纾─韦咭樱àぃ─仍皮铯欷渴陇ⅳ搿¥长嗡。à袱纾─壬辘工韦·辘庵堡丹汗珡预纬鏊à筏澶盲筏纾─扦ⅳ搿K饯馊碎gであるから時には大きな声をして歌などうたって見たくなる事がある。しかし私が勉強している時に隣室のものなどが放歌するのを聴くと、どうしても書物の読めぬのが私の性分である。であるからして自分が唐詩選(とうしせん)でも高声(こうせい)に吟じたら気分が晴々(せいせい)してよかろうと思う時ですら、もし自分のように迷惑がる人が隣家に住んでおって、知らず知らずその人の邪魔をするような事があってはすまんと思うて、そう云う時はいつでも控(ひか)えるのである。こう云う訳だから諸君もなるべく公徳を守って、いやしくも人の妨害になると思う事は決してやってはならんのである。……」

主人は耳を傾けて、この講話を謹聴していたが、ここに至ってにやりと笑った。ちょっとこのにやりの意味を説明する必要がある。皮肉家がこれをよんだらこのにやりの裏(うち)には冷評的分子が交っていると思うだろう。しかし主人は決して、そんな人の悪い男ではない。悪いと云うよりそんなに智慧(ちえ)の発達した男ではない。主人はなぜ笑ったかと云うと全く嬉しくって笑ったのである。倫理の教師たる者がかように痛切なる訓戒を与えるからはこの後(のち)は永久ダムダム弾の乱射を免(まぬ)がれるに相摺胜ぁ5狈证韦Δ令^も禿げずにすむ、逆上は一時に直らんでも時機さえくれば漸次(ぜんじ)回復するだろう、濡(ぬ)れ手拭(てぬぐい)を頂いて、炬牐Вà长郡模─摔ⅳ郡椁胜趣狻湎率悉蛩蓿à浃桑─趣筏胜趣獯笳煞颏坤恧Δ辱a定したから、にやにやと笑ったのである。借金は必ず返す者と二十世紀の今日(こんにち)にもやはり正直に考えるほどの主人がこの講話を真面目に聞くのは当然であろう。

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やがて時間が来たと見えて、講話はぱたりとやんだ。他の教室の課業も皆一度に終った。すると今まで室内に密封された八百の同勢は簦à趣─紊颏ⅳ菠啤⒔ㄎ铯蝻wび出した。その勢(いきおい)と云うものは、一尺ほどな蜂(はち)の巣を敲(たた)き落したごとくである。ぶんぶん、わんわん云うて窓から、戸口から、開きから、いやしくも穴の開(あ)いている所なら何の容赦もなく我勝ちに飛び出した。これが大事件の発端である。

まず蜂の陣立てから説明する。こんな戦争に陣立ても何もあるものかと云うのは間摺盲皮い搿F胀à稳摔蠎檎趣丹ㄔ皮à猩澈樱à筏悚─趣钐欤à郅Δ皮螅─趣蓼柯庙槪à辘绀袱澶螅─趣饯韦郅藨檎悉胜い猡韦韦搐趣丝激à皮い搿I伽吩姢盲恳奥摔摔胜毪取ⅴⅴ辚工廿醛‘の死骸を引きずって、トロイの城壁を三匝(さんそう)したとか、燕(えん)ぴと張飛が長坂橋(ちょうはんきょう)に丈八(じょうはち)の蛇矛(だぼう)を横(よこた)えて、曹操(そうそう)の軍百万人を睨(にら)め返したとか大袈裟(おおげさ)な事ばかり連想する。連想は当人の随意だがそれ以外の戦争はないものと心得るのは不都合だ。太古蒙昧(たいこもうまい)の時代に在(あ)ってこそ、そんな馬鹿気た戦争も行われたかも知れん、しかし太平の今日(こんにち)、大日本国帝都の中心においてかくのごとき野蛮的行動はあり得べからざる奇蹟に属している。いかに騒動が持ち上がっても交番の焼打以上に出る気遣(きづかい)はない。して見ると臥竜窟(がりょうくつ)主人の苦沙弥先生と落雲館裏(り)八百の健児との戦争は、まず枺┦肖ⅳ盲埔岳搐未髴檎我护趣筏剖à皮猡筏毪伽猡韦馈W笫希à丹罚─×辏àà螭辘绀Γ─螒椋à郡郡ぃ─蛴洡工毪说堡盲皮猡蓼簲长侮噭荬槭訾伽皮い搿9爬搐樾鹗訾饲嗓撙胜毪猡韦辖预长喂P法を用いるのが通則になっている。だによって吾輩が蜂の陣立てを話すのも仔細(しさい)なかろう。それでまず蜂の陣立ていかんと見てあると、四つ目垣の外側に縦列を形(かた)ちづくった一隊がある。これは主人を戦闘線内に誘致する職務を帯びた者と見える。「降参しねえか」「しねえしねえ」「駄目だ駄目だ」「出てこねえ」「落ちねえかな」「落ちねえはずはねえ」「吠えて見ろ」「わんわん」「わんわん」「わんわんわんわん」これから先は縦隊総がかりとなって吶喊(とっかん)の声を揚げる。縦隊を少し右へ離れて邉訄訾畏矫妞摔铣h隊が形勝の地を占めて陣地を布(し)いている。臥竜窟(がりょうくつ)に面して一人の将官が擂粉木(すりこぎ)の大きな奴を持って控(ひか)える。これと相対して五六間の間隔をとってまた一人立つ、擂粉木のあとにまた一人、これは臥竜窟に顔をむけて突っ立っている。かくのごとく一直線にならんで向い合っているのが砲手である。ある人の説によるとこれはベ攻堠‘ルの練習であって、決して戦闘準備ではないそうだ。吾輩はベ攻堠‘ルの何物たるを解せぬ文盲漢(もんもうかん)である。しかし聞くところによればこれは米国から輸入された撸铯恰⒔袢
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